【2015年以降発刊】最新!おすすめ新選組小説【3選】

                  f:id:karu_miburo:20190321182936j:plain

新選組は明治には逆賊という汚名を着せられ、それから長い間、物語では決まって悪役でした。

 

そんな新選組へのイメージを変えたのは子母澤寛の「新選組始末記」です。

 

その「新選組始末記」があったからこそ司馬遼太郎の「燃えよ剣」や「新選組血風録」が誕生し、その後も数々の作家が新選組作品を発表しては度々「新選組ブーム」というものが巻き起こりました。

 

現在、小説だけでも数えきれないほど多くの新選組作品が存在し、それ故に「新選組は書き尽くされた」と言われることもあります。

 

近年の作家が新選組の作品を書こうとすると、とても難しい問題と闘わなければいけません。

先人作家たちが創り上げた新選組のイメージ、そして"新選組ファン"である各人が持つ新選組のイメージ____それらを守りすぎると既存作品の踏襲になってしまい、奇をてらうと受け入れてもらえない可能性が高まります。

 

しかし、今でもその難しい「新選組ジャンル」に挑戦をしている作家はいます。

 

今回は、2015年以降に出版された「新選組」を題材とした小説からおすすめの3作品をご紹介します!

 

 

イメージを踏襲しつつも全く新しい新選組作品

 新選組一番隊組長・沖田総司は夢を見たことがない。

江戸の道場で塾頭を務めながら仲間と過ごしていたある日、幕臣が斬られる事件が起こる。やがて仲間たちと浪士組に参加して京に上った総司は、徐々にその人斬り___"鬼"の正体へ近づいていく。

"鬼"になった人物や自分自身との葛藤、恋や病を経て、最後に総司が見る夢とは___ 。

"鬼"や総司の命を狙う何者かの正体。いくつもの謎や登場人物が複雑に絡み合った作品です。

夢を見たことがないという、明るく純朴なようでいてどこか虚無な総司が、鬼の正体や人を斬る自分と葛藤していく様が丁寧に描かれています。

一方で、幕末の政治的背景や闘いの描写はそれほどない為、物足りなく感じる人もいるかもしれません。しかしこの作品は歴史の上での新選組を描いたものではなく、あくまで総司の視点での彼の葛藤や成長の物語です。

新選組隊士は既存のイメージを踏襲しつつ、作者の考察によって全く新しい要素が加えられています。

 

また、同作者の作品であり、同じ世界線の話である「歳三の剣」もおすすめです。

「総司の夢」で描かれたそれぞれの人物像は、あくまでその人物の「片面」であったのだと感じさせます。

「歳三の剣」はまだ文庫版は発売されていませんが、2作合わせて表裏一体のような作品ですので、ぜひ読んで頂きたいです。

 

土方歳三の人生を描き切った魂を揺さぶる三部作

日野の豪農・土方家に生まれた歳三は、江戸での奉公が合わずに店を飛び出し、近藤勇と出会う。剣の腕を磨き、浪士組に加わったことで歳三の運命は大きく動き始めた。江戸での青春時代・新選組での鬼副長時代・戊辰戦争での最期までを描いた、土方歳三の一代記。 

この作品は、土方歳三を主人公にした作品としては「普遍的」です。既存作品との大きな違いや特徴もなく、土方歳三の人物像も一般的な彼のイメージそのままと言ってもいいかもしれません。

だからこそ、挑戦でもあると思います。久しぶりの"正統派新選組作品"ではないでしょうか。

文庫版では上中下巻の三部作となっており、土方歳三の生き様をじっくり追うことができます。とても読みやすいので、新選組作品初心者の方にもおすすめです。

 

 新選組のイメージを変える短編集

 池田屋に突入するも、なぜか敵を斬ろうとしない近藤勇。その胸中にあった彼の願望や諦観。

手柄が欲しい、よわむし歳三。山南の介錯をした、ざんこく総司。

その他、馬術師範の安富才助、密偵の村山謙吉、文吏の尾形俊太郎らにも光を当てた短編集。 

 タイトルから分かるとおり、「新選組血風録」のオマージュとも言える作品です。あまり注目されることのない隊士も取り上げ、その心理をとても面白く描いています。

「よわむし歳三」 では仲間と違って手柄のない自分に焦る歳三という、新しい姿が見れます。

既存作品での強い意志を持った歳三とは違うのに、当時の歳三はもしかしたらこのような葛藤があったかもしれない___そう思わせるくらい人間味に溢れた作品です。

心の弱さというものを見せつけながらも、タイトルの通りどこか「颯爽」とした雰囲気を感じさせるのは、登場人物たちが苦くも何かを断ち切っていくからでしょう。